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Study

第3章 食糧問題の改善に取り組む人々の活動

    
  
3−5.日本政府と主要先進国の動き

 


     

(1) 日本政府の活動

 日本では、農林水産省や外務省が、世界の食糧問題に取り組んでいます。

 農林水産省のホームページ(http://www.maff.go.jp)に掲載されている「農業白書」は、世界の食糧事情と日本政府の対応をわかりやすく記載しています。日本政府の食糧問題に対する取り組みについての「農業白書」の記述を以下に引用します。(2009年10月時点の記述です。)
 
   
     
 
 「我が国は、第4回アフリカ開発会議(ティカッドTICADW)やFAO世界の食料安全保障に関するハイレベル会合、G8北海道洞爺湖サミットにおいて、「各国の農業生産の強化を基本とする食料安全保障の確立」という我が国の立場を表明し、国際社会において世界の食料生産の拡大や農業投資の重要性が確認された。

 我が国は、食料不足に直面している開発途上国に対して食糧援助を行うとともに、貧困・飢餓の削減に向けて農業インフラの整備、専門家派遣や研修員受入れによる技術協力、国際機関の知見、ネットワークを活用した支援等様々な取組を実施している。

 農林水産省においても、@我が国及び世界の食料安全保障の確保、AWTO、EPA等の農林水産分野の国際交渉の円滑化、B森林の減少・劣化、砂漠化、水問題等の地球環境問題への対応、C動植物の越境性疾病や大規模かつ突発的な自然災害への対応等に寄与することを基本としてODAを実施している。今後、ODA全体に占める農業分野の割合が高まるよう努力していくとともに、農業開発支援の内容を一層充実させていくことが求められている。」

   
     
 
 (2) 日本のODA

 日本のODAの一部は、開発途上国に対する食糧援助や、貧困・飢餓の削減に向けた農業インフラの整備等を行っており、食糧問題の改善に大きな役割を果たしています。

 「
ODA」とは、Official Development Assistance(政府開発援助)の略です。政府または政府の実施機関によって開発途上国または国際機関に供与されるもので、開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立つために行う資金・技術提供による協力のことです。

 外務省のホームページ(http://www.mofa.go.jp)に掲載されている「ODA白書」から、日本のODAの食糧問題の改善への貢献を説明します。

 2007年のODAの金額は、約9046億円で、米国、ドイツ、フランス、英国につぎ、世界5位の支出額です。その大まかな内訳は、無償資金協力が約4000億円、技術協力が約3000億円、国際機関向け拠出・出資が約2000億円となっています。(有償資金協力(円借款)を除いた純額)

   
     
 
 2007年のODAのうち、約160億円が
食糧援助にあてられました。以下、「ODA白書」からの抜粋です。(2009年10月時点の内容です。)

 「食料不足に直面している開発途上国に対して食糧援助を行うとともに、開発途上国の食料生産性の向上に向けた努力を中長期的に支援する取組を並行して進めています。
食糧援助については、飢餓への対応として人道的見地から実施しており、アフリカなど食料不足に直面している国を対象として、2007年度には、食糧援助により、総額約160億円の支援を行いました。

 このうち、二国間支援を通じて、ネパール、エリトリア、カーボヴェルデ、ブルキナファソ、ハイチなどに対して72.8億円の支援を実施し、国連世界食糧計画(WFP)および国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)経由では、東ティモール、ギニアビサウ、シエラレオネ、スーダン、パレスチナ自治区どに対し86.8億円の拠出を行いました。特にWFPに対しては、2007年度はWFP経由で実施した二国間の食料援助を含め約1億2,000万ドルの拠出を行い、第5位の援助国となっています。

 また、農業生産量の増大のためには、かんがい施設の整備や食料生産技術の向上のための技術協力なども重要です。最近では、ザンビアにおいて、干ばつ常襲地帯における地域・世帯レベルの食糧安全保障を強化するための食用作物の多様化に協力しています。また、ウガンダでは、水資源を有効利用した持続的なかんがい農業技術を導入し米の生産量の増大を図る支援を行っています。」

   
 日本からスーダンへの食糧援助    
     
(c)WFP/ Masanobu Horie    
 http://www.wfp.or.jp/gallery/photo_gallery.php?id=list48acdd62e8455&detail=detail48acdf1c11db9    
 
(3) 日本の食糧安全保障

 
日本の食糧安全保障については、食料・農業・農村基本法(平成11年法律第106号)に以下のとおり定められています。

(食料の安定供給の確保)
第2条  食料は、人間の生命の維持に欠くことができないものであり、かつ、健康で充実した生活の基礎として重要なものであることにかんがみ、将来にわたって、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給されなければならない。
2 国民に対する食料の安定的な供給については、世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有していることにかんがみ、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて行われなければならない。
4 国民が最低限度必要とする食料は、凶作、輸入の途絶等の不測の要因により国内における需給が相当の期間著しくひっ迫し、又はひっ迫するおそれがある場合においても、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じないよう、供給の確保が図られなければならない。

(不測時における食料安全保障)
第19条  国は、第2条第4項に規定する場合において、国民が最低限度必要とする食料の供給を確保するため必要があると認めるときは、食料の増産、流通の制限その他必要な施策を講ずるものとする。


 これに基づき、農林水産省において、以下のような対策を講じています。

 ・食料自給率の向上のための国内の食料供給力の確保・向上
 ・食料安全保障上重要な農産物の適切な備蓄
 ・食料輸出国との安定的な貿易関係の形成
 ・国内外の食料需給に関する情報の収集・分析

 また、農林水産省では、 不測時の食料安全保障マニュアルやパンフレットを作成して公開しています。

 

   
     

(4)主要先進国の動き

 2008年7月7日から9日まで、北海道洞爺湖にて、主要先進国首脳会議(サミット)が開催され、MDGsや食料価格高騰を含むグローバルな課題に関する議論が行われました。その成果として、「
世界の食料安全保障に関するG8首脳声明」が作成されました。世界的な食料価格の急騰がもたらす危機に取り組むため、合計100億ドルの支援にコミットしました。食料安全保障の確保のためには、堅固な世界市場および貿易システムが必要であるとし、輸出規制の撤廃を求めるとともに、十分な食料備蓄を有する国々に対し大幅な価格上昇の際にその一部を食糧難の国々のために提供するよう呼びかけました。また、人道目的の国際的仮想備蓄システム構築の是非を含め、備蓄管理のアプローチにつき検討することとなりました。さらに、G8のコミットメントの実施をモニターし、世界的パートナーシップの実現に貢献するためにG8専門家グループを設置することとなりました。

 2009年7月のイタリア・ラクイラでのサミットでは、「世界の食料安全保障に関する「ラクイラ」共同声明」が出され、食料安全保障のために3年間で200億ドルの資金を動員するという目標に参加各国がコミットしました。

2009年11月16−18日、ローマで「食料安全保障に関する世界サミット」が開催されました。同サミットでは、2008年の穀物価格の高騰、2009年の世界の栄養不足人口の10億人超への増加という状況を受け、飢餓撲滅のための効果的な食料安全保障システムの構築について議論が交わされました。同サミットで採択された「FAO世界食料安全保障サミット宣言文」の主なポイントは、次のとおりです。

1.ミレニアム開発目標(MDGs)の目標1(2015年までに栄養不足人口を1990年の半分にする)を達成するために全ての取組を強化

2.2050年には90億人を超えることが予想される世界人口を養うためには、農業生産量を70%増加させることが必要

3.開発途上国の農業、食料安全保障および農村開発のための国内的および国際的な投資の増加/ODAに占める農業と食料安全保障の割合の大幅な増加

4.(1)飢餓に直ちに取り組む緊急食糧支援と(2)飢餓と貧困の根本的原因を除去する中・長期的で持続可能な農業・農村開発による「ツイントラック・アプローチ」の推進

5.世界食料安全保障委員会(CFS)を改革し、食料安全保障に関するグローバル・パートナーシップの調整を行う中心的な存在にする。


   
     

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