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Study

第1章 食糧不足について

    
  1−1.食糧不足に苦しむ人は世界にどのくらいいるのか?
 

   

 食糧が不足し、人々が苦しむ状況は、その深刻さや性質により、「飢餓」、「食糧危機」、「食糧不足」等、さまざまな言葉で表現されます。このホームページ「Navy blue challenger」では、このような食糧の不足により人々が苦しむ状況をまとめて「食糧不足」ということにします。

 
   
 
 では、食糧不足に苦しむ人は、世界にどのくらいいるのでしょうか?


 下の【表1】は、国際連合食糧農業機関(「FAO」)の2010年9月の資料(Food Security Statistics、"Number of undernourished person" (13.09.2010))[※1a]です。これによれば、2005〜2007年において、約8億4800万の人が、食糧不足のため、「栄養不足」の状態にあります。世界の人口は、2009年の時点で約68億人と推定されていますから、そのうちの少なくとも約12%、8人に1人が「栄養不足」なのです。

※1a:
http://www.fao.org/economic/ess/food-security-statistics/en/
※2004-2006以前の数値はFAOの2009年11月以前の資料に依拠。
 
   
 
 「栄養不足」の定義を確認しておきましょう。

 FAOは、「栄養不足」(undernourishment)を、「
食事エネルギー消費量が、健康を維持し、日常生活を営むための最低食事エネルギー所要量を、継続的に下回っている状態」と定義しています。最低食事エネルギー所要量は、年齢や性別、体格などにより異なるため、国によって数値が異なりますが、FAOが公開している国別の資料[※1b]では1日あたりだいたい1600から1900キロ・カロリーとなっています。食パン1枚が約180キロ・カロリー、牛乳1杯が約130キロ・カロリーですから、1600キロ・カロリーは、とても簡単な食事を1日に3回とるのと同じぐらいのエネルギー量です。つまり、健康の維持に必要な、とても簡単な食事を1日に3回とることができない人が、約8億4800万人いるということです。 

 そして、この中には、食糧不足のために命を失うほどの危険な状態の人が多く含まれています。食糧不足の具体的事例について、次のページ1−2以降で説明します。


※1b:上記Food Security Statisticsの"Minimum dietary energy requirement"
 
   
  【表1】栄養不足人口の推移
Country-groups 1990-92 1995-97 2000-02  2004-06   2005-07
(百万人)    
世界合計 845.3 824.9 856.8  872.9  847.5
Developed countries 19.1 21.4 18.7  15.2  12.3
Developing World 826.2 803.5 838.0  857.7  835.2
アジア 585.7 528.5 552.1  566.2  554.5
East Asia 183.3 152.0 141.7  136.3  139.5
Southeast Asia 105.7 88.6 93.9  84.7  76.1
South Asia 286.1 278.3 302.8  336.6  331.1
Central Asia 4.0 4.7 9.3  5.8  6.0
Western Asia 6.1 4.4 3.5 2.1  1.1
中南米 52.6 51.8 49.4  45.3  47.1
North and Central America 9.3 10.2 9.3  9.0  9.7
The Caribbean 7.5 8.6 7.2  7.8  8.1
South America 35.8 33.0 32.9  28.5  29.2
中近東/北アフリカ 19.1 29.6 31.6  33.8  32.4
Near East 15.0 25.3 27.1  29.0  26.3
North Africa 4.0 4.3 4.5  4.9  6.1
アフリカ(サハラ以南) 168.8 193.6 205.0 212.3  201.2
Central Africa 22.0 38.4 47.3  54.3  51.8
East Africa 77.2 85.7 83.4  86.5  86.9
Southern Africa 32.4 35.8 36.5  36.7 33.9 
West Africa 37.3 33.8 37.7  34.7  28.5
 
 
 次に、「栄養不足」人口の内訳を確認しましょう。「栄養不足」人口の98%が開発途上国に集中しており、約5億人がアジア、約2億人がサハラ以南のアフリカです。

FAOのホームページに掲載されている世界の栄養不足人口の明細データ(2005−2007年の数値、合計約8億4800万人)から、栄養不足人口の多い国における栄養不足人口の推移を確認してみましょう。

国 名: 1995−1997年  → 2004−2006年 → 2005−2007年

インド:     1億63百万人 → 2億52百万人 → 2億38百万人
中国:      1億42百万人 → 1億27百万人 → 1億30百万人
パキスタン:     27百万人 →   37百万人 →    43百万人
コンゴ民主共和国:26百万人 →   44百万人 →    42百万人
バングラデシュ:  54百万人 →   40百万人 →    42百万人
エチオピア:     36百万人 →   35百万人 →    32百万人
インドネシア:    22百万人 →   37百万人 →    30百万人
タンザニア:     12百万人 →   14百万人 →    14百万人
フィリピン:      14百万人 →   13百万人 →    13百万人
ブラジル:       17百万人 →   12百万人 →    12百万人
ケニヤ:         9百万人 →   11百万人 →    11百万人
タイ:          11百万人 →   11百万人 →    11百万人
ベトナム:       17百万人 →   11百万人 →    10百万人
ナイジェリア:     11百万人 →   11百万人 →     9百万人


 
   
 
 2008年の食糧価格の高騰により、2009年には、「栄養不足」人口は10億人を超えたといわれていました。2010年9月14日付のFAOとWFPの発表によれば、2010年における世界の「栄養不足」人口の推定人数は、約9億25百万人です。現在も多くの人が食糧不足に苦しんでおり、「栄養不足」人口の推移から見ると、
残念ながら、状況は20年前とあまり変わっていません。

※2009年10月14日付のFAOのプレスリリース
http://www.fao.or.jp/media/press_091014.pdf
※2010年9月17日付のWFPのプレスリリース、
http://www.wfp.or.jp/pr/detail.php?seq=351


 
   


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